在宅ワーカー(個人事業主)向け
契約~請求書類のチェックポイント(一部フォーマット付き)
目次
商談前
秘密保持誓約書(NDA)[主に取引先のフォーマット]
反社会勢力排除の誓約書[主に取引先のフォーマット]
取引先(企業)によっては、秘密保持誓約書(NDA エヌディーエー)の提出や反社会勢力排除の誓約書を提出して欲しいと言われることがあります。その場合、大体の場合は先方から契約書フォーマットが送付されますので内容を確認して提出しましょう。この誓約書の提出が取引の絶対条件になっている企業も多いです。
Check Point!
守れないようなルールが記載されていないか
取引先の大切な情報を取り扱う訳ですから、そもそも十分に注意すべきですが、秘密保持誓約書(NDA)の中には、かなり厳しい対応を要求するものもあります。実際に自分自身が対応できない内容が含まれていないかチェックしておきましょう。
・定期的な現地検査が決められている
→ 自宅を検査されるのか
【対処法例】条文を削除してもらう/「事前に相談の上」という文言を追加する など
・業務実施場所の施錠を要求されている
→ 自宅で業務場所の施錠ができるのか
【対処法例】条文を削除してもらう/自宅の部屋なので施錠出来ないが問題ないかをメールで確認 など
・定期的な報告が義務付けられている
→ どういう報告が必要なのか、対応できるのか
【対処法例】具体的にどういう報告が必要なのか聞いて判断する/報告フォーマットをもらう など
・ウィルス対策ソフト、バージョンアップ、アプリのインストールなどの制限がある
→ 他の仕事や日常的なPCの利用に差し障りが出ないか
【対処法例】条文を削除してもらう/現状のPC環境を伝えてメール等で許可をもらっておく など
企業の大切な情報を預かってお仕事をするわけですから、面倒だというだけでは断りづらいですが、もし守れない内容が記載されていた場合は、なぜ守れないのかの理由も含めて、先方にその旨相談してみましょう。また、契約はどうしてもそのまま締結せざるを得ないが、守れない可能性がある場合に、守れない内容についてメールで許可をもらっておくだけでも多少の効果があるかもしれません。
反社会勢力排除の誓約書についてはあまり気にしなくても大丈夫
ご自身およびご家族、関係者に 反社会勢力の方がいらっしゃらなければ、それほど内容への注意は必要ありません。ざっと確認しておけば十分です。
お見積
お見積書[フォーマットダウンロード Excelファイル]
皆さんご存じのお見積書です。相談を受けたお仕事に対して、どのような条件で金額がいくらなのかをお客様(企業等)に提示します。取引先によっては見積書の作成を行わず、メールやチャットで済ませる場合もありますが、認識違いを避ける為、口頭は避けましょう。
Check Point!
取引先によってはメールやチャットで済ませる場合もありますが、トラブルを避ける為、口頭は避け、特に下記のようなチェックポイントをできるだけ明確にしましょう!
「何の業務を」、「いつまでに(もしくは、どのぐらいの期間))」、「いくらで」が明確か
お見積書の基本内容です。他の誰かが見ても上記の3つの点がはっきりわかるように気を付けましょう!
どうなったらその仕事は終わりなのか記載されているか(検収条件の記載)
例えばWebサイトを作るお仕事でも、ファイルを納品すれば終わりなのか、サーバ上で正常に表示させたら終わりなのか、サイト作成後しばらくしてお客様が問題ないと判断したら終わりなのか、終わりの条件によってお仕事の期間や範囲は大きく変わりますので十分注意しましょう。
「期間が終わったら終了」「作業報告書を提出して終了」「ファイルを納品したら終了」「検収書(お客様が内容を確認して問題ないと判断したという事の証明書類)をもらったら終了」など
お金を「いつ」「どのような形で」支払ってもらうのか記載されているか
いわゆる「支払条件」と言われるものです。もらえると思っていた時期にお金をもらえないと困りますよね。通常は、仕事が終わってから1~2ヶ月後に銀行振込が一般的です。
1ヶ月後の場合:翌月末銀行振込、2ヶ月後の場合:翌々月末銀行振込 など
契約、注文
注文書[フォーマットダウンロード Excelファイル]
もしくは
業務委託契約書[主に取引先のフォーマット]
注文請書[フォーマットダウンロード Excelファイル]
お見積を提出して、条件が整ってきたら、いよいよ契約です。面倒な手続きではありますが、口頭は避けましょう。また、取引先によっては、メールやチャットで済ませる場合もあるようですが、条件はある程度明確にして、しっかりと発注の意思を示してもらってから進めましょう!
Check Point!
見積書と同様に、認識違いによる問題を避ける為、口頭は避け、下記のような点に注意しましょう!
必要項目が出来るだけ明確になっているか
「何を」「いつまでに(どのぐらいの期間)」「いくら」「どうなったら完了か」「いつ、どうやってお金をもらうか」
(詳しくは「お見積」の項を参照)
その契約は「請負契約」か「準委任契約」かお互いの認識があっているか
契約の種類には大きく「請負契約」と「準委任契約」があり責任が異なります。どちらの契約なのか理解しておきましょう。
請負契約:システムを完成させたり、モノを納品することを約束する契約
準委任契約:ある業務をお客様の代わりに代行する契約(システムの完成や納品の責任は無し)
※準委任契約でも、いい加減な仕事をしたり、できると言っていたことができなかった場合は当然契約違反になります。
お仕事を開始する前に契約を締結しよう(注文をもらおう)
契約の締結前に仕事を始めてしまうと、万が一、「諸事情でプロジェクトが中断」とか「やっぱり頼むのをやめる」といった事態が発生した場合に、トラブルになってしまいます。できるだけお仕事開始前に正式な発注をもらいましょう。なお、どうしても間に合わない場合はメールやチャットで発注する意思を示してもらうだけでも多少はトラブルを防ぎやすくなります。
契約書のやりとりが難しければ見積書と注文書で契約
契約書は独特の難しい言い回しも多く、文章量も多いので、自分から契約書を作って締結したり、条文の調整をしたりするにはある程度の経験も必要です。
取引先から契約書案を出してくれる場合はいいですが、自分から出さなければならず、契約書に慣れていない場合は、注文書ですませましょう。一般的に契約書と注文書の違いは、記載されている条件の細かさであり、契約としての効力はそれほど変わりません。
取引先から契約書を提示された場合でも、ある程度内容を確認しよう
契約書は文章量も多く、文章の表現も独特ですので、なかなか読もうと思えないかとは思いますが、お仕事をする上での取り決めです。少なくとも、「守れなさそうな決まりが無いか」「業務内容、お金や期間、支払日など基本的な条件に誤りが無いか」あたりは出来る限り確認するようにしましょう。
注文請書は求められたら
注文請書とは「発行された注文書に対して、やります!と約束する書類」です。通常の取引においては、注文請書を省略するケースも多いのが実情です。逆に注文請書を紙で発行する場合は、収入印紙を貼らなければならないので、基本的には求められたら提出、できれば電子ファイルで、というスタンスが一般的です。
※注文請書を発行しないリスクとしては契約が成立していないと言われてしまうリスクで、「注文請書が提出されていない=注文を受け付けなかった」と考え、他に発注しましたといったパターンです。常識的な相手で、きちんと意思表示し、コミュニケーションがとれていれば通常発生するようなリスクではありませんが、相手によっては注意しましょう。
作業報告、納品、検収
作業報告書[フォーマットダウンロード Excelファイル]
納品書[フォーマットダウンロード Excelファイル]
(請負契約の場合) 検収書[フォーマットダウンロード Excelファイル]
業務が終了しましたら、必要書類の提出を行いましょう!
Check Point!
契約書や注文書で提出を義務付けられている書類は必ず出しましょう
契約書上で作業報告書の提出などが義務付けられている場合は、必ず出すようにしましょう。どのような形式で出せばいいかわからない場合は、先方にフォーマットなどを頂くのも良いかと思います。
請負契約の場合はできるだけ検収書(業務終了の確認書)をもらいましょう
請負契約の場合、先方がその完成品の確認を完了して初めて業務終了となります。どこかで終わった意思表示をしてもらわないと、いつまでもお金がもらえなかったり、ずるずると対応を要求されたりすることもあり得るので注意しましょう。検収書の発行が行われない場合でも、せめてメールやチャットで業務終了の合意を取っておきましょう。
請求
ご請求書[フォーマットダウンロード Excelファイル]
ご請求書です。取引先にも自分にも、税務上で必ず必要になる書類ですので、きちんと作成して送付、保管を行いましょう。
Check Point!
請求書の形式に決まりはありませんが、記載漏れが無いか注意しましょう。
(1)氏名、(お持ちの場合は屋号も記載しましょう)
(2)発行年月日
(3)取引内容(軽減税率が適用される場合はどの品目が適用されるのかも記載)
(4)税率ごとの合計請求金額(税抜もしくは税込)および適用される消費税率
(5)税率ごとの消費税額
(6)宛先(取引先の企業名など)
<インボイス登録済の方は下記も記載しましょう。>
(7)登録番号
(8)税率ごとの合計請求金額とその消費税率
(9)税率ごとの消費税額
入金を確認しよう!
取引先も人間です。間違いや処理漏れもありえます。トラブルを防ぐためにも、きちんと予定日にお金が振り込まれているか確認するようにしましょう。
請求書には住所を記載しないといけないの?
住所の記載は義務ではありません。ご自宅の住所を記載したくない人は記載しなくても大丈夫です。ただ、名前だけとなると同姓同名もありますし、誰が発行した請求書なのか明確にするべきなので、連絡先などを記載するようにしましょう。
請求書には押印が必要?
請求書には押印しなくても問題ありません。何となくこれまでも押してきているから、もしくは、見た目の問題で押印している企業が多いのが実態です。確かに押印している方がそれっぽいですよね。
インボイス制度に登録しないと消費税を請求できない??
インボイス未登録者(免税事業者)が、請求書で消費税を記載して請求しても違法ではありません。結局取引先がいくら払うのかということだけですので、お互い合意していれば消費税を記載していても問題ありません。
取引先の常識やルールも大切に!
業界や企業によって常識もルールも異なります。もし請求書を提出した際に、不必要な押印や記載事項の変更を求められた場合でも拒絶するだけはなく、可能な範囲で取引先の常識やルールも尊重するようにしましょう。
よくあるご質問
その他のよくあるご質問内容です。
振込手数料を負担するように言われたのですが…
何も取り決めがない場合は、法律にて「買い手が負担」と決まっており、お金を支払う側が負担するのが一般的です。ただ、お互いが合意していればどちらが負担しても違法ではないので、たまに振込手数料を差し引いた金額で支払ってくる取引先もあります。我慢できない場合や、少額の取引の場合は「負担をお願いしたい!」とはっきり申し出てみましょう。
約束の日にお金が振り込まれなかったらどうすればいいですか?
取引先も人間ですので忘れてしまったり、間違えてしまうこともありますので、遠慮せずに、すぐに確認の連絡をしましょう。なお、連絡がつかない、かなりの頻度で約束をやぶる、お金の支払時に減額交渉されると言った場合は、お金を十分にもらえないリスクが高い状態です。取引の停止も視野に入れましょう。
支払調書とは何ですか?これは発行してもらえないのですか?
支払調書とは、個人事業主の方などに発注した企業が支払金額から源泉徴収を行っている場合に、いくら支払っていくら源泉徴収したかを税務署に届ける書類です。あくまでも税務署向けの書類ですので、企業が個人事業主の方に渡す義務はありません。また、源泉徴収をしていない場合はそもそも作成されていない書類ですのでもらえません。好意で支払調書の写しや支払明細書、支払通知書などを発行してくれる企業もありますが、基本的にはご自身の提出した請求書などをしっかり保管しましょう。
ご質問/ご相談フォーム
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